こんにちは。干梅はThreadsを主に使っているのですが、いつものようにスクロールしていると、どなたかが”イタリアの伝統技法を踏襲したオーダースーツモデル「フィレンツェ」を発表 「ユニバーサルランゲージメジャーズ」10周年を記念した本格仕様”という記事をシェアしていらっしゃったのをみかけました。「え!ユニバーサルランゲージのオーダー、フィレンツェスタイルまでやんの?」とびっくりして、思わず記事を読みました。実は、今から8年前、僕が大学に入って上京した頃に、ユニバーサルランゲージメジャーズでパターンオーダーをした事があります。今ウェブサイトを見てみると「あれ、こんなに沢山モデルあったっけ?」って思いましたが、僕が作った時はナポリモデルでハンドメイドラインを選びました。出来上がった時はとても嬉しくて気に入って頻繁に着ていましたし、洋服が山のように増えた今でも着用する機会はあります。ただ、作った当時は洋服のことを何も知らなかったので気にならなかったことや、逆にこういうところがいいっていうところが沢山見えてきました。僕が作ったのはかなり前の話なので、今とはいくつかの点において、もしかしたら勝手が違うかもしれません。ですがユニバーサルランゲージでスーツ作ってみたいけどどうなんだろう?という方に参考程度にして頂けたらと思い、今回は僕の長年着用しているナポリモデルのスーツをレビューしてみたいと思います。
Universal Language Measures Abito Su Mizura

こちらが僕がオーダーしたスーツになります。ナポリモデルで、ハンドメイドラインとなっております。生地はREDAのチャコールグレーのフランネルです。なんとなく全体を見てみるとスッキリしてていい感じがしますが、どうでしょうか?まずはジャケットについて、一つずつ見ていきたいと思います。ジャケットで最も大事な襟の部分ですが、返りも綺麗でしっかりと一枚襟で作られています。
仕様について


お気づきの方もいらっしゃると思いますが、実は当時の干梅青年はなぜかグリーンに非常にハマっておりまして、ボタンホールの色を一部変えていました。正直個人的には今はこういったことはしないかなぁと思います。ただこれはこれで、特に何かお直しをするということはなく記念で残してあります。ボタンもややグリーンがかったナットボタンをつけており、袖は本切羽で仕上げました。ボタンホールそのものも結構綺麗にできていると思います。自分は今はこういう色遊びはもしかしたらしないかもしれませんが、オーダーならではの経験なので「絶対やっちゃダメだよ!!」とは思いませんし、試してみるのも良いと思います。ただ、ネイビーの記事に真っ白なボタンホールみたいなのはちょっとどうかなぁとは思います。1メートル離れて見ると気づかないくらいの差だったら、それはそれでいいのではないかと思います。

また、オプションとしてチェンジポケットをつけました。その当時は「なんとなくかっこよさそう」という至極単純な考えでしたね。今ホームページで確認してみても、オプションとして価格も高くないので、好きな人はおすすめです。

さて、ここまで見てきて「あれ?めっちゃよくない?」と思う方もいると思いますが、ジャケットに関して唯一後悔している失敗があります。それが、袖付です。
昔の王子様みたいやん…

所謂、シャツのような袖付けをするというナポリ仕立てにおける最も有名な技法「マニカ カミーチャ」です。どういうわけかわからないのですが、置いたときはそうでもないのに、着ると鬼のように膨らんでしまいます。そのため、袖山が不自然にぷっくりとなってしまい、しかもあろうことか却って腕が動かしづらいです。例えば、本場のナポリブランドであるISAIAのフランネル素材で作られてるジャケットを見てみると、そちらはほとんどマニカ カミーチャがされてませんし、それでいて腕が非常に動かしやすいです。
Attolini(アットリーニ)とISAIA(イザイア)を比較してみよう

もちろん素材との相性もありますし、価格帯が全然違う両者を比べて優劣をつけるのはナンセンスだとは思います。また、今はもしかしたらこの状況は改善されているかもしれません。ですが、こう言ったスタートプライスが5万円ほどのパターンオーダー店で安易にマニカ カミーチャを選ぶのはUniversal Languageに限らず避けた方がいいかもしれません。これだけ取り沙汰されている技術ですが、自分の理想像と結果のバランスを取るのが難しいと思います。
トラウザーズは?

さて、ジャケットをここまで見てきましたが、トラウザーズを見てみましょう。僕がオーダーしたのは2017年で、ちょうどクラシック回帰なんて言葉が謳われ始めて、ベルトレストラウザーズが最注目され始めた時でした。干梅青年は何も知らなかったのですが「こっちの方がかっこいいやん」と思い、その仕様にしました。これは良い判断だったと思います。
ただ今の視点で見ると、もうほんの気持ち全体的にシルエットを緩くした方がよかったと思います。股上ももう少し深くてもよかったですね。これは別に誰が悪いわけでもなく、当時はまだ非常にスリムなシルエットが主流だったことが影響していると思います。もちろん、別に今履いてもキツイと感じることはありませんし、個人的にはこれはこれで満足しています。ただ、もしかしたらウェスト以外は1センチずつくらい出した方がいいのかもしれません。その辺りは調整が効くようにしっかり余裕を持って作られています。

トラウザーズはシルエット以外に関しては概ね満足しています。これに関してはフィッティングの際に、しっかりと自分の好みを伝えるのが大事だと思います。フィッターにもよると思いますが、僕が訪れた際に話した感想では、バランスは比較的融通がきく印象でした。
オプションについて
僕が最終的に選択したオプションは以下になります。
ジャケット
ナポリモデル ハンドメイド仕様
無料オプション 本台場、サイドベンツ、フラップポケット
有料オプション AMFステッチ、本切羽、チェンジポケット、ダブル仕様、ボタンホール色変更、マニカ カミーチャ、キュプラ裏地
トラウザーズ
TRモデル
無料オプション フロントボタン留め、ベルトループなし、前裏、斜めポケット、上前ピスポケットボタンあり、下前ピスポケットボタンなし、AMFステッチ、ダブル糸、Vカット
有料オプション サイドアジャスター、キュプラ裏地、シック
もし、今自分がオーダーするとしたらマニカ カミーチャはつけないと思います。また、ハンドメイドモデルにするのは必須だと思います。少しお値段は張りますが、着心地にもろに影響があるのと、なんかカッコよくなります。これ結構大事じゃないでしょうか。もちろんビスポークではないにしろオーダーなのでサイズ感は普通に既成を買うより調整が効きますし、ハンドメイドモデルのディテールは全体的に綺麗です。イタリアでこのスーツを着ていると「干梅はエレガントだね」って褒められることも多いです。もちろん悪目立ちするのはよくないですが、品のよさを演出できるのは良い点だと思っています。(ちなみに、パンツのモデルを今選ぶならAY03モデルとかカッコ良さそうですね。)
ユニバーサルランゲージの着心地について
ここがオーダーするに当たって結局一番大事なんじゃないでしょうか。実は、着心地に関しては概ね満足してはいます。一応気になるポイントとして、先ほどのマニカ カミーチャによる致命的な腕の動かしづらさはそうなんですが、それ以外にもシンプルに腕を前にした時に肘が少し突っ張ったり、腕の付け根から胸にかけて、若干当たっている感覚もあります。そして、着た時に少し重たいです。
ただ、それはあくまで価格帯の違うファクトリーブランドなどと比べてしまうからであって、例えば日本で売られているイタリア製の同価格帯の物と比べて考えると魅力的な選択肢であることは間違いないと思います。ただ、こう言ったパターンオーダーの欠点ですが、オプションが多すぎてややこしい気がします。ハウススタイルのようなものが良くも悪くもないので、オプションによって値段が変わったり、選ぶのも難しかったりと、意外と自分の好みをちゃんと知っておかないと「なんか思ってたのと違う」ってなる可能性はあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。日本の紳士服量販店では最大手とも言える洋服の青山が手掛ける、フラッグシップブランドとも言える”Universal Language Measure’s”
色々と意見はあると思いますが、昨今の円安情勢や、洋服価格の高騰を考えると、僕の洋服厄介オタクとしての個人的な感想ではかなり頑張っているんじゃないかと思います。そして、一般的な目線で見てもとてもかっこいいスーツが作れると思います。一応下記にリンクを貼っておきますので、もし興味がある方は覗いてみるのもいいかもしれません。また、何か気になる事などございましたら、お気軽にコメントなどで質問頂けたら幸いです。