高校生の頃にスーツやテーラードジャケットジャケットを中心としたクラシックな洋服に興味を持って久しいですが、それは洋服だけではなく、身の回りの物に関しても同じように意識が向いていきました。
クラシックなものが好きな人の共通点だと思いますが、万物の溢れる世の中で、自分の中で1番しっくりくる、いわば相棒とも言える存在と共に生きていく事に、僕個人として密やかな喜びを感じます。
実際の所、洋服に関しては未だに自分の軸が定まりきっていない感覚があるのですが、逆にそれ以外の物は、自分の中で「一生物」と呼べるものを幸運にも幾つか持つことができています。
今回はそんな自分の相棒の一つとも言える、WatermanのCarèneという万年筆について語っていきたいと思います。
Waterman Carène Deluxe GT
ウォーターマンは1883年に世界で初めて毛細管現象を利用したペンを発表し、今日の万年筆の基礎を確立させ、現在に至るまで高品質な筆記具を生産し続けています。創業当初はアメリカの企業でしたが、1926年にフランス支社を設立して以降、フランスでの生産を主に行なっており、芸術の都パリの豊かな文化から得たインスピレーションを筆記具作りに反映させています。

僕が高校生の頃にたまたま父の書斎に本を取りに行った際、この万年筆が彼の机に置かれているのを見つけました。一目見た時にその美しい流線形のボディに一目惚れして、父にちょうだいよと懇願したものです。
その時、父からは「第一志望に合格したらいいよ」と言われました。僕は若気の至りというのかその頃はとても傲慢で「第一志望にしか行くわけがない」と思っていたので、それを聞いて内心ほくそ笑んでいました。
幸い僕の目論見通りに第一志望に合格できたので、発表の日の夜のお祝いムードに乗じてちゃっかりと万年筆を譲り受ける事が出来ました。今となっては笑い話ですが、当時の干梅青年はあまり現実的な思考をしていなかったようにも思えます。
その時は正直あまり意識していなかったのですが、使い始めて数年以上経った今、この万年筆は私にとってかけがえのない相棒と言えるようになりました。
使い心地について
カレンは他の万年筆に比べるとかなり書き心地が硬いです。基本的に万年筆はニブと呼ばれるペン先部分が金でできており、その特有のしなやかさによって柔らかい、軽い書き心地を生み出します。
しかし、カレンはニブ部分が完全にペンの軸にガッチリとホールドされている特殊な形状をしているため、書き心地は硬めになっています。

硬いとはいっても、ニブの素材自体は他のよくある万年筆と同じく18Kの為、ステンレスのような金属味が強いわけではなく、重たくずっしりとした書き心地といった印象です。個人的にはあまり書き心地に関して不便を感じたことはありません。それよりも、この独特な計上のニブが生み出す美しさに惹かれます。

インク色はブルーブラックを使用しています。元々は古典インクと呼ばれる耐水性、耐光性に優れたインクがこの色をしており、以来万年筆のスタンダードとなっていました。
ただ、欠点として古典インクは腐食の問題があったり少し乾きやすかったりと、手入れの面で少々使い勝手が悪く、僕は毎日死ぬほど万年筆を使うというわけではないので残念ながら使用していません。ですが、せめてそのスピリットを受け継いでカラーだけでも模倣しようとしてブルーブラックにしています。(あと、シンプルにこの色かっこいいよね)
まとめ
いかがでしたでしょうか。デジタルの時代、手書きで何か物事を書く機会は少なくなってきていると思います。ですが、こういった長く使えて愛着の湧く筆記具は、どんな時でも思わず使いたくなる魅力があります。皆様も是非、自分だけの一本を見つけてみては如何でしょうか?
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