はじめに
ダブルのジャケットって一昔前は「バブルのおじさんみたい」というレッテルが貼られていたそうですが、僕は子供の頃からダブルのジャケットやスーツが好きで、例えば人生で最初にパターンオーダーしてみた時もダブルにしたんですよね。最近では割と大衆にも受け入れられ始めていて「ようやく時代が追いついてきたな」と何を言ってんの?と突っ込みたくなるようなことを密やかに思ったりしています。
ですが、意外と自分にピッタリの良いものを探すのって難しいんですよね。新品でもそうですが、古着となるととても難しいです。なんとなく色々探してきた中で、ダブルのジャケットって個人的にはシングルのジャケットよりもトレンドの影響を受けているんじゃないかなぁと思ったりもします。中庸なものが結局永遠に古臭くならないから最強だと思うんですけど、妙にブカブカだったり、タイトすぎたり、ボタン位置が気に食わなかったりとなんとも言えないものが多いです。そんな中たまたま古着屋を訪れたところ、驚きの出会いがあったので今回はそれについてご紹介したいと思います。
Brioni Double Breasted Tailored Jacket

一応簡単に説明いたしますと、ブリオーニは1945年にイタリア、ローマで創業した紳士服ブランドです。クラシックファッション業界の金字塔的存在の一つでもあり、最高級の素材を使って最高の仕立てを施されたスーツやジャケットは世界中から高く評価を受けています。
今回ディグったのはこちらのジャケットになります。グレーのバーズアイのウール素材でできた生地で仕立てられたジャケットになります。もしかしたら元々はスーツとして作られたものの上着だけ残ったのかもしれません。ラックにかかっているから妙に存在感を放っており、手に取った瞬間にただものではないと確信しました。

手に持つとかなり重量を感じますが、袖を通すと体にピッタリと沿って、それでいて巻き付いてくるような感覚に陥ります。コンストラクションが非常にしっかりしているジャケットなのにもかかわらず、着心地は非常に軽くしなやかに感じます。そして奇跡的に肩幅から袖丈から何から何までジャストフィットでした。
見た目は地味なのにあらゆる面において非常に丁寧に作り込まれていることを感じられる、まさに自己満足の境地のようなジャケットです。ちなみにこのジャケットはミラノのセレクトショップであるNegliaというお店がBrioniに別注したもののようです。

購入時の価格は22€(当時のレートで約3500円)でした。手に取った瞬間心の中で雄叫びを上げながらガッツポーズをするやつですね。正直倍の価格でも購入していたと思います。購入したのは若者向けのチェーンの古着屋です。こういった雑多な古着屋にももちろんジャケット類は入荷されるのですが、こういったお店では残念ながらクラシックな洋服など誰も見向きしないので、非常にお手頃な価格で購入することができます。イタリア古着ディグの醍醐味が詰まった体験の一つと言っても過言ではないと思います。
実は、購入当時はこれ以上の凄まじいディグはできないだろうななどと思っていたのですが、イタリアにはまだまだ魔物が潜んでいます。今後それらについても執筆していきますので楽しみにしていてください。
いかがでしたでしょうか。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。もしよければ前回のディグ日記もぜひチェックしてみてください。