こんにちは。今日から新しい連載を始めていきたいと思います。といっても、古着ディグ日記と違ってかなり不定期な更新となってしまいます。というのもタイトルの通り、今回から紹介していくのは「絶対誰も知らない、小さな街の”サルトリア”」の作品だからです。
TINCATIとBrioniの比較記事でもお話ししましたが、イタリアにはまだまだ無限のブランドが潜んでいて、古着屋を巡っていると見たことないようなものが沢山見つかります。そんな中で、誰も聞いたことがないような小さな街のサルトが仕立てたようなジャケットも沢山見つかったりします。ただ、そういったジャケットはもちろん特注品なので、サイズが本当に合いません。なので、自分が着れる許容範囲の物が見つかった場合に連載していく形となります。それでは早速最初の1着を見ていきましょう。
Luigi Polato Tailored Jacket

今回紹介するのは”Luigi Polato”というヴィラフランカという街のサルトリアのジャケットです。ぶっちゃけどこやねん?って思いますよね。ヴィラフランカはヴェローナというロミオとジュリエットの舞台となった街と、イタリア最大の湖水面積をもつガルダ湖の中間地点から少し南に行ったところにある小さな街です。イタリアの中では北部に位置します。

このサルトリアは調べてみたのですが何も情報が出てきませんでした。残念ながら恐らく今は存在しない、幻のお店となったのでしょうか。ですが、偶然にも僕の手元に「作品」という形を通じて彼の名前は残っています。詳しくみていきましょう。
ラペル周り

さて、どうでしょう。襟裏のハ刺しはかなりばらつきがあります。個人的にはこの襟の面構えは結構好きで、それが購入を決めたきっかけとも言えます。
ただ、ラペルの周りをぐるぐる巻いているようなこのハンドステッチは、一体なんなのでしょうか。僕は素人なのでこれが手間の証なのか、それとも適当にやったダメなやつなのかをジャッジすることが難しいのですが、基本的にどの既製服でも見たことがありません(もし知っている方がいれば教えてくださると助かります)。

肩周り

パッドはどちらかというと薄めですが、かなりしっかりとしたコンケープドショルダーになっています。腕は動かしやすく、肩から首にかけてのフィット感も良いので、着ていて快適です。個人的に、この辺りはとてもよくできていると思います。

ボタンホール
ボタンホールは全体的に結構綺麗に作ってると思います(とか偉そうなこと言って、実はミシンだったらどうしようとか考えてます)。そして、袖は本切羽になってるんですが、ボタン同士の距離感が逆に離れているのが結構面白いと思っています。


ポケット
ポケットのステッチも手縫いです。胸ポケットはバルカポケットというわけではなく、ごくごく普通に取り付けられています。腰ポケットは玉縁で、D管止めもしっかりされていています。そして、裏側から見ると手縫いであることがわかります。



裏側

基本的には手縫いではあるものの、特にこれと言って言及することはありませんでした。ただ、タバコポケットがこのように裏地の縫い目に取り付けられています。そして、先ほどのタグの写真をもう一度貼るのですが、なんとなく内ポケットだけはミシン味があります。強度を求めているのかどうかわかりませんが、実際のところどうなんでしょうか?

フィッティングとまとめ
先ほどもお伝えした通り、肩の吸い付きはとてもいいです。ただ、オーダーした人はかなりお腹が大きかったのか、ボタンを閉じると腰ポケットのあたりが異様に膨らみます。0ドロップどころかマイナスドロップでしょうか。この辺りは将来的に少し修正する必要がありそうです。
いずれにせよ、古着の場合ビスポーク品は既製服よりも難しいので、実際の所実験的なお買い物になりがちです。実際このジャケットは15€(当時のレートで約2500円)ほどで買ったのですが、古着だと同じような金額で、探せばBrioniやBelvestを買えちゃったりするので、こういったジャケットを見る目は一層シビアになってしまいます。
とは言っても、なんだか面白い見た目をしていたり、面白い生地で、変わった仕立てをしていたりする事もあるので、コレクション的要素で集めるのはかなり楽しいです。誰に需要があるのかはさっぱりな趣味記事ですが、今後も不定期的に継続していきたいと思っています。他にも色々な記事がありますので、暇つぶしにお読み頂けますと幸いです。
Leave a Reply