気品と官能の狭間にある靴 Tanino Crisci シングルモンクストラップシューズ

イタリアでヴィンテージを収集していると、現行品ではもちろん、日本の古着市場でもなかなか手に入らない、貴重な靴が見つかることがたくさんあります。そういった過去のブランドの中には時に非効率でありながらも最高品質を追求し続けたブランドもたくさんあります。今回紹介する”Tanino Crisci”もまさに、そう言ったブランドです。厳選された材料に超絶技巧の職人芸、徹底的に美しさのみを追求して作られた靴の中から、今回はシングルモンクストラップシューズを紹介します。

Tanino Crisci Single Buckle Monk Strap Shoes

Tanino Crisci シングルモンクストラップシューズ スエード

Tanino Crisciは1876年にミラノにて、乗馬用ブーツの制作を主産業として創業した老舗メーカーになります。その名残から、乗馬している様子の絵がロゴとして使われています。創業時からイタリアを初めとした王侯貴族に向けて、徹底的に品質と美しさを追求した製品を制作しており、その美しさは現代においても他に類を見ないほどと言えます。

Tanino Crisci シングルモンクストラップシューズ ロゴの様子

こちらの靴はスエード素材を使用したシングルモンクストラップシューズとなっています。若干スクエアトゥ気味でメリハリのある、非常に色気のあるシルエットを持っています。使われているスエードも非常に柔らかく、履くと足全体が包み込まれるかのような、まさに極上の心地よさがあります。

Tanino Crisci シングルモンクストラップシューズ 横からの写真

よく英国やフランスの靴などと比較して、イタリアの靴は色気があると紹介されがちですが、Tanino Crisciの靴はまさにその頂点の一つと言っても過言ではありません。流線的で色気のある土踏まずのくびれをはじめ、足の形にピッタリと沿う立体的でグラマラスなフォルムを持っています。それでいて、素材の美しさとミリ単位のバランスによる佇まいが品格をも齎しています。靴製造の歴史の中でも光る、まさに完成されたシルエットの一つと言えるでしょう。

余談ですが、Tanino Crisciは日本ではタニノ クリスチーという名前で親しまれていますが、実際のイタリア語では”クリスチー”ではなく”クリッシ”という発音が近いです。(今更感がありますが・・・)

おそらくクリスチーと呼ばれるのは、アメリカかどこかからの影響で最初に持ってきた時に間違って普及してしまったのではないかと推測しています。日本でよく語られるステレオタイプ的なイタリアのイメージは、ほとんどがアメリカにおけるイタロアメリカンに対する偏見的イメージからの輸入か、ゴッドファーザーのようなアメリカ製映画の影響が大きいので、タニノ クリスチーもその影響を受けていたのではないかと推測しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。2011年に惜しまれながら閉業してしまったブランドの靴。アーカイブとしてお楽しみ頂けましたら幸いです。Tanino Crisciはもちろん、イタリアの今は亡きブランドの靴や、小さい工房による靴についても沢山書いていきますので、もしよろしければお読み頂けますと幸いです。

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