最古の学術都市 ボローニャ


昨日からある疑問が頭にこびりついて離れない。
すっかり煮詰まった私は、薄暗い小部屋から外にでる。
外は私の陰気な心とは違い、すっかり乾いていた。

馴染みの古物商を冷やかした後、行く宛もなく大学へ立ち寄る。
中庭で壁にもたれかかりながら、思考を巡らせる。
かの偉大なるコペルニクスがそうしたように。

すると、稲妻が走ったように何かを閃いた。
居ても立っても居られなくなり、
私は柄でもなく駆け出すのだ。
"ボローニャ"の世界で最も古い大学の旧校舎の壁。

学徒の集う街 ボローニャ

ボローニャはイタリア北部のエミリアロマーニャ州の中核都市です。1088年に設立された、世界最古の大学であるボローニャ大学を有しており、「地動説」を唱えた天文学者のコペルニクスや「神曲」を書いた詩人のダンテ、近年では「無線電信」の発明により、ノーベル物理学賞を受賞した発明家のマルコーニといった、錚々たる面々がこの地で勉学に勤しみました。

最も古い校舎はアルキジンナジオ館と呼ばれており、旧市街地のまさに中心部に今も残っています。中では17世紀ごろに解剖学の授業が行われていた教室や、法学部の大講義室などを見学することができます。

そういった歴史的な側面から、ボローニャは今日もイタリアはもちろん、世界各国から若き学徒が集う、多文化的な学術都市として栄えています。

"ボローニャ"の世界で最も古い大学の旧校舎。
Archiginnasio

ボローニャはミラノやローマといった巨大なメトロポリスほど大きくはありませんが、文化的にも歴史的にも重要な古都としての側面を持ちながらも、学術が盛んである故に急進的なアイデアが豊富に溢れておち、コンパクトながら非常に充実した都市となっています。

さて、大学の旧校舎を後にしてすぐそばにあるのがボローニャの大聖堂です。サンペトローニオ大聖堂という名で親しまれるこの大聖堂は、アントニオ ディ ヴィンチェンツォという建築家が手がけていたのですが、本来ではバチカンの大聖堂よりも大きくする予定だったことを否とした教皇庁による建設計画の中止命令や、度重なる建設の妨害などによって、ファサードなどが未完成のまま建設が終わってしまいました。

"ボローニャ"の大聖堂
Duomo

政治的な摩擦といった歴史的な側面がこういった場面で見られますが、内装はとても豪華で、非常に美しくできていますので、訪れた際にはぜひ中を見学することをお勧めします。

さて、今度は大聖堂の目の前のマッジョーレ広場から少し路地に入ってみましょう。細い路地には昔ながらの市場が現在も栄えており、生ハムなどを取り扱う肉屋はもちろん、八百屋や魚屋、パスタ屋といった、生活に欠かせないお店が所狭しと並んでいます。中には、ワインをはじめとするお酒を軒先で楽しめるようなお店もあるので必見です。

"ボローニャ"の旧市街の路地。市場となっている。
旧市街の路地の市場

路地を抜けてリッツツォーリ通りに出ると、洋服屋や本屋、雑貨屋に至るまでいろんなお店が並んでいます。この辺りが、ボローニャでのショッピングの中心地とも言えるでしょう。基本的に大通りには名の知れたブランドなどが並んでいますが、ほんの少し路地に入るだけで、思いがけない出会いがあるかも知れません。

"ボローニャ"の旧市街。
旧市街には古い魅力的なお店がたくさんあります。

少し路地を道なりに進むと、サント・ステファノ教会があります。最初は一つの小さな教会だったものが、時代が進むにつれて少しずつ増築を繰り返し、地元の人には7つの教会というあだ名で呼ばれて愛されています。

"ボローニャ"のサントステファノ教会。
Chiesa di S.Stefano

ちなみにこの教会前の広場では、七月と八月を除いて、毎月第二土曜日と日曜日にこの近辺では最も大規模な蚤の市が開催されます。家具から古本、雑貨にアクセサリーと、様々なヴィンテージ品が所狭しと並べられます。ボローニャの学生達はこういった場所で自分だけのお気に入りの品を探します。

"ボローニャ"のサントステファノ教会で行われる蚤の市。
蚤の市の様子

伝統と革新が融合する街”ボローニャ”大都市とはまた違う、イタリア古来の生活文化の豊かさを感じられる素晴らしい都市です。ミラノからもフィレンツェからもアクセスしやすいので、旅の道中に是非訪れてみてはいかがでしょうか。


"ボローニャ"のネプチューン広場にある図書館をでてすぐ。
図書館を出て
「やった!ついにわかった!」
喉の引っ掛かりが取れて清々しい気分で、図書館を後にする。
まだ日は落ち切ってないけれど、いつものBarに足を向けた。

同じことを思ったのか、一人、また一人と
いつものように友垣らが集い始める。
私たちの無駄話は止まることを知らない。
若者達は嬉々として、笑い、歌い、騒ぐのだ。

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