“イタリア旅行”に限らず海外旅行に行く際は楽しみな反面、慣れない環境での滞在を不安に感じる事もありますよね。僕も初めてイタリアを訪れる際には「気をつけた方がいいこと」とか「必需品」とか色々と調べたりして、そこに書かれているようなことを参考にして準備していました。ですが、実際現地に住み始めてイタリアのニュースを知るようになると、日本で紹介されている実情とは異なる事がたくさんあるという事がわかりました。
そこで、今回はイタリア旅行に関するリアルな実情と抑えるべきポイントを、個人的な観点からお伝えしたいと思います。
「南の方が治安が悪い」はもう古い?

イタリアの都市の話をする際、ミラノを筆頭に北イタリアの都市は治安が比較的良く、ナポリやシチリア島などの南イタリアは治安が悪いと紹介されがちです。残念ながら、イタリア人ですら未だに北部の方が治安がいいと信じている人たちが多いのも現状です。
ですが、イタリアのニュースメディアである「SKY TG24」が報道した2024年度の犯罪報告数ランキングの記事を見てみると、なんと報告数第一位はあろう事かミラノで、その他ランクインしている全ての都市がローマよりも北に位置しています。
Reati in Italia, ecco le città più a rischio secondo l’indice di criminalità. CLASSIFICA SKY TG24
つまり、ミラノは比較的治安がいいなんてのは真っ赤な嘘で、しっかり治安が悪い都市なんです。むしろ治安が比較的悪いと言われている南部の州の都市は、一部地域を除いたら平和そのものだったりします。
え、じゃあ”イタリア旅行”ってあぶないの?

ここまで、少し皆様を脅かすようなことを書いてきましたが、イタリアが本当にやばいかと言うと決してそんなことはありません。むしろこれだけ観光産業が発達しているわりにかなり安全な方だと思います。しっかりと、基本的なポイントを抑えておくと、危険な目にあう確率は非常に少ないです。具体的にいくつか見ていきましょう。
1.道で急に話しかけられても相手にしない
日本の街を歩いていて、いきなり知らなり知らない人に話しかけられたら正直ギョッとしますよね?もちろん、話しかけてくる全ての人が悪い人だとは言いませんし、特に僕の住んでいる田舎や、日本の地元でもそうですが、わりかし田舎の街だと町民同士の交流は比較的起こりやすいかもしれません。ですが、あなたがもしわかりやすい観光地を歩いている時に知らない人にいきなり話しかけられたら、それは間違いなく気をつけるべきです。
ヨーロッパは日本以上に格差社会が激しく、生活が厳しい人も沢山います。物乞いの人などを無視するのは心苦しく感じる事もあると思いますが、敵意をむき出しにするのではなく、あくまで自然にNoと言いましょう。
2.カタコトの日本語でやたら話しかけてくるレストランに入らない
異国の地で母国語が耳に入ってくるとなんとなく嬉しくなることもありますよね。ですが、あきらかな観光地でそのような呼び込みをしているレストランは間違いなく怪しいです。イタリアでは観光客向けのお店には基本的に地元の人は行きません。多くの場合値段も高いですし、その割にサービスは並な事が多いです。
逆に注文したあと、お会計の際などに「どこからきたの?」みたいな話になることはあります。その場合は100%とは言いませんが、比較的地元密着型のレストランの場合が多いです。ぼったくり店は実際のところかなりのレアケースですが、なんにせよお店選びの際はよっぽどの理由がない限りはランドマークの近くではない方が良いです。
3.”イタリア旅行”だからといって、普段と違うことをしない
もしかしたら賛否両論飛び交うかもしれないんですが、僕の個人的な意見では「普段の生活でしていないこと」をあまりしない方がいいと思います。
例えば、ありがちなのは「現金をあちこちに分けて持ち歩く」とかですね。基本的に何か特別なこと(例えば蚤の市巡りなど)をしたい場合でない限り、沢山の現金を持ち歩く必要はないです。ぶっちゃけ20€もあれば1日で現金を使いそうな場面(カフェやマーケット)はほぼ網羅してお釣りが帰ってきます。
基本的に旅行の際はクレジットカードを最低二つほど持っていき、一つは携帯してもう一つはホテルに置いておくくらいが丁度いいです。あるいは、スマホのタッチ決済で全て完結するのもありです。僕は普段は身分証明書とカード、あと少額の現金のために財布を持ち歩いていますが、基本的にはiPhoneで支払いを済ませてしまっています。
あと、もうひとつ非常にあるあるなのが、普段日本でシャツの下にボディバッグを隠したりとかしないのに財布も何もかも全部そこに入れたりする人です。殆どの人は普段からその動作に慣れていないので、割と目に見えて手間取ります。そういった場面も観光客なのかそうでないかを見極める要素になります。
例外的に、例えばパスポートなどををそのようにして持ち歩いて、ずっと隠し続けておくといった方法ならアリかもしれません。ですが、ボディバッグの留め具なんてプロからすればマジックテープと変わりません。意味がバレると狙われる可能性はあります。開きっぱなしのポケットに突っ込んだままにしないようにだけして、他はあまり慣れないことはしない方がいいと思います。
服装に関しては正直しょうがない部分があると思います。どのように何を着こなしても、場合によっては観光客感が拭いきれない部分は出てきます。
すごく分かりやすいアイテムでいうと、例えば日本だとセントジェームズを代表するバスクシャツってオシャレ民の定番みたいになってますけど、イタリアで着ていると「何そのシャツ!めずらしいね!」なんて言われたりと、地元の人が着てそうなもの、着てなさそうなものというのがなんとなくあります。
あと、例えば「イタリアではブランド品を持ち歩かないほうがいい!」なんて言いますけど、現地のマダム達はルイヴィトンのモノグラムのバッグをドヤ顔で持ち歩いていたりします。
「何を持っているかは全く関係ないよ!」とはもちろん言いませんが、持ち物が高級品かどうかというより、観光客仕草を嗅ぎ分けられることによってターゲットにされる傾向があります。エルメスのバッグでも大丈夫な人もいれば、ユニクロのバッグでも観光客感丸出しだともちろん狙われます。
何はともあれ、よっぽど込み入った事情がない限りは「なるべく普段通り」を心がけるのがベストです。
4.挙動がやばい人には近づかない
説明するまでもないですね。例えば混んでいる電車の中でやたら動き回ってる人とか、どう見ても危なそうですよね。わざわざ近づいていく必要ないですし、あきらかにヤバそうな人はやっぱりヤバいです。日本にもそう言う人沢山いるでしょう?イタリアが特別なわけではなく、全世界の共通項です。とりあえず立ち去るのが手っ取り早いです。
5.屋外で物をその辺に置かない
これは誰もが「気をつけよう、気をつけよう」と思っていても、1番起こりがちな例だと思います。僕もそうですが、たまーに忙しい日があったりして歩き回ったりして疲れた時に、ふっと街の広場のベンチなんかに座ったときやりがちです。特に日本だとあまり考えずにこういう事をしていてもほぼ何も起きませんが、閑静なエリアでもない限りかなり危ないです。ちゃんとファスナーを閉めて、持ち手に腕が通る場合は通して、なるべく膝の上なんかに置くようにしましょう。これは別にイタリアに限らず、ヨーロッパではどこに行っても常に気をつけましょう。
“イタリア旅行”で訪れる際に、気をつけた方がいいエリアとかあるの?
日本でも「ここにはあんまり近づかない方がいい」って言われるようなエリアがありますよね。多くの場合は普通に観光をしていて訪れるような場所ではありません。しかし、全般的に気をつけた方がいいエリアというのがないわけではありません。
ちなみに、この項目については他のウェブサイトでも紹介されている点と合致する部分も多いかもしれません。ですが、念の為に基本的なポイントを抑えていきたいと思います。
1.ターミナル駅の周り

「どうやって移動すればええねん」と言われそうですが、残念ながら主要都市のターミナル駅(ローマ テルミニ駅やミラノ中央駅など)の周りは基本的に治安が悪いです。
理由を具体的に説明するのは難しいですが、イタリアの場合は日本の大都市、例えば東京や大阪のように、「駅を中心としてそこから街が発達している」というよりは、「街がすでにあって、都合が良いところに駅を作った」と言う設計になっているので、どうしても少しだけ中心地から離れています。
そして、やはり人が多いということはそれだけ色んな可能性があるということでもあります。最早語るまでもないですが、あまり駅周辺に屯せず、また深夜や早朝の暗い時間にはなるべく近づかない方がいいでしょう。
2.ランドマークの周り

駅の件と全く同じ事が言えるのですが、とにかく人混みが凄まじいです。例えば最も有名なランドマークの一つ、ローマのトレビの泉なんかは一生人だかりができていて、パシャパシャと写真を撮り続けています(もちろん僕も初めて訪れたときはパシャパシャしていました) 基本的にみんな浮かれっぱなしになっているので、狙われやすいです。パシャパシャしつつもしっかり警戒して、あまり長居はしないようにしましょう。
3.地下鉄
イタリアの地上を走っている電車は基本的にとても治安が良いです。よっぽどのことがない限り危ない目に遭うことはありません。ただ、ミラノやローマのメトロになると話が変わってきます。もちろん普通に使ってる分には何も問題ないのですが、さっき話したような所謂「危ない人」に出会う確率が高いです。特に、扉の前には極力立たない方がいいです。危ない人も普通の人もみんな扉から入ってきます。
“イタリア旅行”において最も大事な事

さて、最も大事なことについてですが、何事においても主語を大きくしないということだと思います。
「イタリアって〜な感じだよね」
「イタリア人って〜だよね」
みたいな話は大体外れてる事が多いです。例えば現地で「ジローラモさん」のような、日本人が想像するような「The イタリア人」には出会った事がありませんし、ファッション雑誌なんかで紹介されている内容の殆どは極々限られた世界の話です。逆に「スリが多い」「治安が悪い」といったようなネガティブな話も星の数ほど出回っていると思います。もちろん、それら全てが嘘っぱちというわけではありません。ただ、そういった極端な情報が全てではなく、殆どのイタリアに住む人達が毎日の生活を、多くの日本に住む人達がそうしているように頑張っているだけです。
ありとあらゆる情報が片手間に検索できてしまう世の中ですが、あまり全ての情報を鵜呑みにせず、自分の目で見て感じた事を信じるようにするのが賢明だと思います。みんなが知っている道から少しだけ脇道を覗いてみると、世界がガラリと違って見えるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。イタリアは本当に興味深い国ですが、一方で残念ながら勘違いされてしまっている事も沢山あります。今回は主に旅行時の気をつけるべきポイントについてフォーカスしてまとめてみました。もし何か役立つ事があれば幸いです。他にもイタリアで簡単に見つけられるおすすめのお土産なんかも紹介してますので、合わせて読んでいただけますと幸いです。
Leave a Reply