コンサートはコンサートでも”クラシックコンサート”となると「何着ればいいの?」っていう疑問を持っている方が思いの外多いようです、実際クラシック音楽と聞いて、厳かな雰囲気を感じる人は多いのではないのでしょうか。
なんとなく雰囲気だけでお堅そうに思われていますが、ぶっちゃけ「なに着ても良い」というのが正直なところです。そもそもクラシック音楽と一括りにしてしまっていますが、クラシック音楽の歴史とは即ち、西洋音楽の進化の歴史な訳で、それは少なからず、社会全体の近代化の動きとも密接に繋がってるわけです。実際、モーツァルトがブイブイ言わせていた頃は、貴族の間でカツラを被って小麦粉で白くデコレーションをするのが流行っていたわけですが、ブラームスが台頭している時代にそんなことをする人は殆ど残っていません。音楽は時代と共に進化し続けて、現代に至るまで繋がっているのです。となへば、装いも時代に合わせてアップデートされて然りなのです。「Tシャツなんて着ちゃだめだよ!」なんてのはもはや現代においてナンセンスです。
クラシックコンサートにおけるドレスコードについての是非を問う
勿論、偶に特別な催し物として「ブラックタイ」などのドレスコードが求められる演奏会が、ない事はないです。ですが、そう言った催しは、世界で行われるすべてのコンサートの内1%にも満たないでしょう。
でも、せっかくならおしゃれしたい!
そうはいっても「お出かけだし、何着ようかな?」とコーディネートに迷う方もいらっしゃると思います。ファッションショーをしにいくわけではないと理解しつつも、公の場で、しかもちょっとハイソな雰囲気がする空間。「気にしてないんだけど、でもちょっとそれっぽくみられたい」という微妙な気持ちは、洋服愛好家として大変よくわかります。そこで、僕が個人的に「演奏会に行く時はこんなふうに着こなしたい!」と思うスタイリングを、私物を使って季節事に紹介してみたいと思います。
オールシーズン向け
まずコーディネートを紹介する前に最初にお伝えしておくのが、基本的な方針としてスーツやジャケットなど「襟付きの服」を選んでいます。
「Tシャツでいいって言ってたじゃん!嘘つき!」
と言いたくなる気持ちはわかりますが、ここではあくまで「それっぽく」という事を意識しています。規則で縛られているわけではもちろんなくて、なんとなくエレガントに見せたい場合、そう言った服を着る方が比較的難易度が低いです。
ちなみ、これは少しコンサートとは関係ないのですが、昨今ではナイロンセットアップに白いTシャツ的な、IT系のようなスタイリングをする人が100万人くらいいますが、実はイタリアではそういったスタイリングはあまり見かけません。スーツを着る人はスーツを着るし、そうでない人はもっとカジュアルだったりと、差がはっきりとしています。今回のコーディネート紹介では、そういった「すごくモダンな洋服」は使用していません。もちろん、そういった服を着る事を否定するつもりはないのですが、エレガントに見せたい場合は、天然素材で作られている物をなるべく選ぶ事をお勧めいたします。
さて、まず最初に「オールシーズンいつでもいけるよ!」ってのがあれば便利ですよね。早速、具体的なコーディネート紹介に移っていきたいと思います。
1.ネイビースーツスタイル

さて、まず最初のコーディネートですが、ネイビースーツです。「え?仕事着じゃん?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、スーツを着ているっていうだけで普段の2倍くらいはカッコよく見えたりします。写真ではなるべくシックにまとめるために、ネイビーとホワイト、小物類でブラックと、非常にシンプルにしています。このスタイリングはどちらかというと夜に行われる演奏会におすすめです。
2.グレースーツスタイル

グレースーツもネイビースーツ同様、仕事着としては勿論「エレガントに見せる」という一点において非常に効果的です。このスタイリングは先ほどのものよりも少しだけカジュアルに、サックスブルーのシャツにグリーンのネクタイを締めています。
こちらはどちらかというと昼向けのコーディネートになります。さっきと何が違うの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、最大の特徴は「シャツの色」です。場合にもよりますが、イベントや何やらは基本的に夜に行われるものの方ががよりフォーマルです。ホワイトシャツの方がサックスブルーのシャツよりもフォーマルなので、より夜のイベントに適しています。実際、イタリアでもコンサートなどでは時間帯によってシャツの色の傾向が少し違います(ちなみに、スーツの色はシャツよりもバラエティ豊かですが、夜になると暗くなる傾向があります。そのためミディアムグレーよりネイビーを着用している方が多いです。)。スーツの色はもちろんですが、どちらかというとシャツの色で昼向けなのか夜向けなのかを考えてみるのも楽しいかもしれません。
3.ブレザースタイル

スーツ以外にオールシーズン向けとしておすすめなのがブレザースタイルです。最も使いやすいのは「ネイビーのブレザーにグレーのスラックス」という組み合わせです。ネクタイは少し派手なストライプを合わせたり、靴を紐履ではなくローファーにしてみたり、ポケットチーフも先ほどより少しだけ華やかなペイズリー柄の物を、パフドスタイルで入れています。
ここでも昼向けか夜向けかは、やはりシャツの色によります。今回は少しわかりにくいですがグレーに近い水色と白のストライプのシャツなので、昼?夜?と一見迷ってしまいます。一応ストライプという柄は無地に比べるとカジュアルなので、昼向けではあるのですが、サックスブルーや柄シャツを夜に着てはいけないというルールがあるわけでもないので、あくまで参考程度にするのが良いです。一番大事なのは「お気に入りの洋服を楽しんで着る」ということです。
春夏のおすすめ
さて、次は春夏向けのコーディネートです。気候的な問題もありますし、春夏の洋服は秋冬に比べてカジュアルになる傾向があると思います。先ほどのオールシーズン向けはフォーマル寄りですが、せっかくなので春夏ならではの少しラフな雰囲気を出していくのも、オシャレに見えるポイントです。
1.ブレザースタイル

おなじブレザースタイルでも、先ほどのものより、全体的にカジュアルにコーディネートしてみました。シャツをシャンブレーシャツ(もしくはデニムシャツでも可)に変えて、靴もブラウンに。そしてホワイトジーンズを合わせる。ただ、一応少しカジュアルなネクタイを合わせることによって、Tシャツやポロシャツを着るよりもエレガントに見せています。もちろん、ネクタイなしでも成立するので、気軽に挑戦できると思います。
2.リネンスタイル

春夏の定番といえばリネン素材ですよね。ジャケットとパンツをリネン100%の素材で作られたものを選び、インナーにオックスフォード生地のプルオーバーシャツを合わせたコーディネートです。ここまでのスタイリングに比べて、カジュアル感が一気に増したと思いますが、それでも襟付きのものを選んでいるおかげで、一定の上品さは保たれていると思います。素材感の相性だけ気をつければ、比較的簡単に真似できるコーディネートだと思います。
3.スニーカースタイル

ここまで来るとさらにカジュアル感が増します。リネンコットンのジャケットに少しカジュアルなシャツ。さらにジーパンを履いて、スニーカーを合わせていますが、それでもギリギリエレガントさを保っているかな?というところです。個人的にはこう言ったコーディネートの方が、スーツを着るよりもオシャレに見せるのが難しいと思います。
エレガントさを保つポイントとして、ジャケットを着るのはもちろん、スニーカーはなるべく、アディダスのスタンスミスに代表されるような、所謂「テニスシューズ」を合わせるのがおすすめです。
秋冬のおすすめ
秋冬は春夏よりも少し合わせ方の幅が広がると思います。また、個人的にはなんとなく、クラシックコンサートのシーズンは秋から春にかけてというイメージもあります。さて、一つずつ見ていきましょう。
1.スーツスタイル

春夏向けでは触れなかったスーツスタイルになります。これはあくまで僕の独断と偏見なんですが「春夏向けのスーツ」って、いろんな洋服を着慣れている人でないと、結構難しいと思います。
例えばリネンやコットンのスーツは明るい色が定番ですが、ホフホワイトのスーツを着て山手線に乗れる人ってどう考えても上級者ですよね。逆に、ネイビーやブラックのリネンスーツなんかもめちゃめちゃカッコいいですけど、ちょっと小慣れていないと、合わせるのが難しいと思っています。
その点、秋冬のスーツは着やすいです。起毛していたり、分厚い生地を選べば良いだけで、基本的な配色はフォーマルな物とさほど変わらないと思います。
さて、話を戻していきましょう。こちらは若干ブラウンがかったグレーのスーツのコーディネートです。チェック柄だったりと難しそうですが、シンプルにサックスブルーのシャツと、ダークブラウンのウール素材のネクタイ、ブラウンの少しカジュアルなダブルモンクストラップの靴を合わせています。なんとなく全部ややこしいアイテムに見えますが、ポイントは色合わせです。似たような色を合わせてしまえば、そこまで難しいコーディネートではありません。例えばネクタイはシルクのものでも、スーツの柄も無地や別の柄でも、モンクストラップではなく紐履を合わせても大丈夫です。ただ、こう言った厚手のスーツは秋冬ならではの暖かい上品さを生み出すことができると思います。
2.カジュアルスーツスタイル

秋冬のスーツの楽しみ方として、タートルネックのニットを中に入れる合わせも鉄板です。特に、こう言ったグレーのシックなスーツにブラックをはじめとする深い色のタートルネックのニットは非常に相性がいいです。今回はダークグリーンを軸にコーディネートを組んでいますが、アイテムも少ないので非常に再現性が高いコーディネートとなっています。
3.フランネルジャケットスタイル

先ほどの春夏編で紹介したリネンスタイルの秋冬版とも言えるコーディネートです。カジュアルなフランネル素材を使った上品なベージュ色のジャケットを中心に、それぞれ配色を合わせて行ったというスタイリングです。暖色は当然暖色に合わせやすいので、ややくすんだ赤色のネクタイを合わせています。
一見派手に見えますが、落ち着いた色合いが多いのでそこまで目立たなかったり、コットンスラックスはホワイトジーンズでもよかったり、シューズもローファーでもよかったりと、比較的再現が簡単なコーデになっています。
4.カジュアルジャケットスタイル

さて、秋冬編で最もリラックスしたコーディネートがこちらになります。カジュアルなチェック柄のジャケットにモックネックのニット、白のコットンパンツにブラウンのローファーを合わせています。一見派手に見えるジャケットやカジュアルなアイテムも、色合わせを気をつけるだけで上品さを保つことができます。もちろん、モックネックがタートルネックに変わっても成立しますし、例えば極端な話ジャケットがネイビーブレザーに変わっても大丈夫です。
クラシックコンサートでおしゃれに見せるポイント
さて、ここまでクラシックコンサートにおすすめな「おしゃれコーデ」を紹介してきましたが、コンサートに限らず普段から洋服を選ぶ際に意識するべきは、ズバリ”サイズ感”です。特にこういった場面のように、上品な雰囲気を出すことを狙いたい場合は、なるべく体にフィットする洋服を選ぶのが一番です。最近では洋服の青山のようなスーツ量販店も感度の高いスーツを既成でも販売していたり、比較的安価にパターンオーダーを楽しめるサービスを提供したりと、昔に比べてサイズの合う洋服が見つけやすいのではないかと思います。
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また、既製品を買う際に、ただそのまま買ったものを着るのではなく、袖丈をほんの少し調整してみたりと微調整を加えるだけでも、同じスーツが全く見違えて見えたりします。もちろんそれは新品のみならず、皆様のワードローブの中の洋服も同じです。もしよければチェックしてみてください。
コンサートの服装で、一つだけ気をつけた方がいいこと
コーディネートとは少し話がそれますが、コンサートにいく際は音がなる服を着用するのはなるべく避けた方が良いです。例えば、無限のシルバーアクセサリーをつけていたり、ナイロンのシャカシャカウィンドブレーカーを着ている場合など、意識せずちょっと動くだけでも音がでます。コンサートホールは非常に音が響きやすい空間になっていますので、悪気がなくてもかなり目立ちます。今回紹介したコーディネートはなるべくそう言ったことが起きないように考えてみましたが、お出かけの前に、少しだけ確認してみることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。クラシックコンサートの非日常感をとことん楽しむためのコーディネートをお届けしてきました。例えば今回紹介したコーディネートを軸に、アイテムをずらしてみたりとコーディネートを楽しんでください。そして何より、コンサートが素晴らしい体験になることを願っています。もし、アイテムの詳細やコーディネートについて何か気になることがある場合、コメントなどでお気軽にご質問ください。
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