イタリア古着ディグ日記 #10 Sartoria Attolini(サルトリア アットリーニ) テーラードジャケット

はじめに

ただの個人的な記録でしかない「古着ディグ日記」ですが、記念すべき第十回の大台に乗りました。改めて紹介したアイテムを振り返ってみると「ジャケット多すぎね?」と思いますが、イタリアでの古着ディグで一番見つけやすいのがテーラードジャケットであり、結果的にそうなってしまうのは無理もないかと思います。さて、何はともあれ初めての二桁台という事で、今回はイタリアでの古着ディグ生活最大の発見で、正直なところ「未来永劫こんな奇跡は起きないんじゃないか?」という気がする”Sartoria Attolini”のジャケットをウルトラディグした話をしていきたいと思います。

時は遡る

数ヶ月前、冬が終わりを告げて春の芽吹きが感じられる季節。季節の変わり目はイタリアの洋服屋界隈において、シーズンの最終セールの真っ只中です。それは古着屋でも同じように行われており、中でも街にあるチェーンの古着屋は、どういうわけか”Tutto a 3€(全部3€)”という意味不明なセールを行っていました。勿論こういったチャンスを逃すわけにいかない僕は、スタスタと足を伸ばしたのです。

店内はいつに増して人でごった返していますが、それでもあまり見向きがされない、悲しいテーラードアイテム達。余裕があれば僕が全部買い占めたいところですが、残念ながらそういうわけにもいかず、吟味していきます。ファストファッションブランドのジャケットから地元サルトリアの巨大なジャケットまで、まさにカオスとしか言い表す他ない状況で、そのジャケットは僕の目を強く惹きつけました。それはまるで、何かこの世のものではない力に吸い寄せられるような体験です。そして、手に取ったのがこちらのジャケットでした。

Sartoria Attolini Tailored Jacket

”Sartoria Attolini”のジャケット。

地獄のように詰め込まれた洋服が音を立てるほどにぎゅうぎゅう詰めになっている、正に混沌極まりないハンガーラックの中で妙な威圧感を放っていたこのジャケットこそ、まさに”Sartoria Attolini”のジャケットだったのです。この名前は2000年前後まで使われていたもので、現在は”Cesare Attolini”と呼ばれています。

”Sartoria Attolini”のジャケット。タグ部分。

このブログを読んでくださっている方でこのブランドを知らない方はいないかと思いますが、簡単に説明いたします。

Cesare Attoliniはナポリの名門サルトリア”London House“でマスターカッターを務め、所謂ナポリ仕立てを確立した伝説的な仕立て屋”Vincenzo Attolini”の息子であるCesare氏によって生み出された、革新的なナポリ仕立てをあくまで忠実に既成服に落とし込んで世に送り出す、まさに頂点の一つとも言える既成服ブランドです。

サイズはドンピシャの48で、正直着るまでもなく購入を確信していました。ですが、念のために実際着てみると「オーダーしたのかな?」と思うほどのハマり具合でした。

このジャケットは玉淵ポケットなので、もしかしたらスーツの上着だったという可能性もあります。「ジャケットはパッチポケットの方がいいのでは?」という意見もあるとは思いますが、本当のところはなんでも良いというのが結論だと思います。実際生地そのものもダークブラウンでチェック柄と割とカジュアルなので、僕は普通にジャケットとして着用していきたいと思います。

”Sartoria Attolini”のジャケット。しつけ糸が残っている。

ちなみに、前の持ち主は、なぜか左ポケットのしつけ糸を切っていませんでした。全体的にもほとんど使用感がなく、思わず「なんで?」とツッコミたくなる要素がこのジャケットにはたくさんあります。

そして繰り返すまでもないかと思いますが、勿論3€(当時のレートで約500円)で購入しました。もうこんな体験は今後の人生で二度と起きないんじゃないかと思うのですが、果たしてどうでしょう。まだまだこれからも屈強にディグ生活は続けていきたいと思いますので、いつの日かまた同じような奇跡が起こせるよう頑張ります。

いかがでしたでしょうか。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。第十回までは名の知れたブランドのアイテムを紹介してきましたが、次回以降は全く誰も知らなさそうなアイテムなども少しずつ織り交ぜていきたいと思っています。また、もしよければ前回のディグ日記もぜひチェックしてみてください。

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