イタリアのレストランで失敗しないために|現地在住者の店選びと注文のコツ

イタリアで戸惑うのは、味ではなく仕組みのほう

皆様こんにちは。イタリアで観光といえば、レストランは一番楽しみなイベントの一つですよね。イタリア料理はどれをとっても魅力的で、美味しいものばかりです。でも、レストランでの勝手については戸惑うことが多いかと思います。

席に着いた瞬間に何かが始まっている気配がすること。伝票に見慣れない行があること。いつ手を挙げていいのか分からないこと。要するに、味ではなく、雰囲気やマナーなどについて戸惑うわけです。

最もそれらは難しいことではなく、簡単に説明がつくものや、勘違いされてやたら難しく考えられていることも多いです。

今回は、イタリアのレストランの選び方から注文会計、カプチーノなどの通説に至るまで、現地在住者の目線でわかりやすくまとめてみました!

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まず、店を選ぼう

正直に書きますと、幸運なことに私はイタリアで外食に失敗したことがほとんどありません。最もそれは難しいことではなく、単に店選びに気を使っているからです。逆に言えば、失敗の大半は店を選んだ時点で決まっているということでもあります。

そして店選びは、席についてメニューを開く前に終わっていますよね。まずは外観からわかるお店の選び方を、特徴とともに見ていきましょう。

観光客向けの店は、ニコニコ話しかけてくる

知らない街や、特に大きい街の場合は、これが個人的には一番あてになる指標です。

店先に立っている人が、通りがかりのこちらへ愛想よく話しかけてくる。日本の感覚だと「感じのいい店だな」と思ってしまうところですが、イタリアではむしろ逆の信号だと思っています。わざわざ客を捕まえに来る必要がある店、ということですから。例外はありますが、地元の客で回っている店は、外に人を何人か立たせて、声掛けさせたりなどあまりしません。

やたら英語が聞こえてくる

店の前を通ったときに、テラス席から、あるいは中から英語ばかり聞こえてくる店。これも避けたほうがいいと思います。

念のために書いておきますと、そういう店が食べられないほどまずいということは、たぶんありません。ただ、あまりよくない。値段に対して出てくるものが釣り合わない、という程度の話ではあるのですが、旅先の一食は有限ですから、わざわざそこを選ぶ理由もないでしょう。

メニューから分かること

店の前にメニューが出ているなら、入る前に読めます。避けたほうがいいサインは、だいたい決まっています。

  • 言語が多すぎる。 10言語くらい並んでいて、国旗のイラストがついていて、写真つきで、ところどころ綴りを間違えている
  • 品数が多すぎる。 百科事典みたいなメニューを全部きちんと出せている店は、まずありません
  • 絵葉書みたいな料理ばかり。 郷土料理と国際的な定番が脈絡なく混ざっている
  • 季節で変わらない。 一年中同じものが並んでいる
  • 観光地の一等地なのに、やけに安いセットメニューがある
  • 空港やホテルの無料パンフレットに載っている。 有料掲載であることが多いです

そして中を覗いて、地元の客がいるかどうか。

メニューのアスタリスク(*)が意味すること

イタリアのメニューでは、料理名の横に * がついていることがあります。あれは注釈記号ではなく、その料理に冷凍・急速冷凍・急速冷却された食材を使っているという表示です。

面白いのは、この義務が成文法ではなく、イタリアの裁判所である破毀院(Corte di Cassazione)の判例の積み重ねから来ているところです。「客はふつう生鮮の食材で調理されると期待しているのだから、そうでないなら明示せよ」という考え方が、数十年かけて判例として固まりました。表示を怠れば刑法515条の「商取引詐欺」にあたり、最大2年の拘禁または2,000ユーロの罰金がありうるとされています。

こういう表示を義務づけている国は、イタリアと北キプロスだけだそうです。

ただしこの制度には批判もあります。congelato(冷凍)、surgelato(急速冷凍)、abbattuto(急速冷却)は技術としてまったく別物で、品質が実際に落ちるリスクがあるのは主に congelato のほうなのですが、アスタリスク一つではその区別がつきません。

実用的にどう使うかというと、魚料理でアスタリスクだらけのメニューは、少なくとも「港町で朝獲れの魚を出す店」ではない、という判断材料になります。ただ、先ほども述べた通り、冷凍技術によっても品質は違いますし、そもそも寄生虫対策などのために冷凍が必要な場合もあります。逆に言えば、アスタリスクをきちんと打っている店は誠実だとも言えます。むしろ表示がない店が怪しいということも考えられますよね。あくまで参考程度に用いるのが良いかと思います。

予約はいるのか

結論から言うと、たいていの店は予約なしでなんとかなります。

必要になるのは、死ぬほど有名な店か、その街で一番人気という類の店くらいでしょう。絶対に行きたいレストランを除けば、旅行の日程を予約で固めてしまうより、その日歩いた場所で決めるほうが、たぶん楽しいと思います。その方がむしろ思わぬローカルな店に巡り会える可能性も高いでしょう。

注文について

プリモとセコンド、全部頼まなくていい

イタリア料理のコース構成は、アンティパスト(前菜)、プリモ(第一の皿)、セコンド(第二の皿)、コントルノ(付け合わせ)、ドルチェ(甘いもの)と並びます。プリモはパスタやリゾット、セコンドは肉や魚のメインであることが多いですね。

ここで日本人が一番よく誤解しているのが、この順番どおりに全部頼まなければいけないと思っていることだと思います。実はそんなことはありません。

お腹の具合で決めていいのです。プリモだけでもいいですし、セコンドだけでも構いません。

私の場合は、初めて訪れる地域なら、プリモとセコンドの両方を郷土料理で頼むことが多いです。その土地で何を食べさせる店なのかを知りたいので。でもそうでない日は、普通にお腹の具合で決めています。

頼み方は、思っているより自由が利く

もうひとつ。聞いてみると融通が利く店が、けっこうあります。

プリモを一皿頼んで、セコンドはいくつか取って皆でシェアする。そんな食べ方をさせてくれる店もあります。メニューにそう書いてあるわけではないので、聞かないと分かりません。

日本人は「決まった作法どおりに頼まないと失礼になる」と身構えがちですが、実際にはそこまで硬直したものではありません。わからないときや困ったときは素直に聞くのが手っ取り早いです。

水は有料

これはイタリアのかなしいところなのですが、水は必ず有料です。

席に着くと、ガス入り(frizzante)かガスなし(naturale)かを聞かれます。日本のように黙っていても無料で水が出てくることは、まずありません。フランスなどでは水道水がタダで頼めたりするのですが、イタリアでは提供している店はほとんどありません。

カプチーノは食後や昼に本当に頼んではいけないのか

旅行の記事にほぼ必ず書いてある「イタリアでは11時以降もしくは食後にカプチーノを頼んではいけない」という話。あれについて、現地に住んでいる立場から書いておきたいと思います。

まず事実として、カプチーノを朝しか飲まない人が多いのは本当です。 これは間違いありません。

ただ、理由が誤解されているように思います。日本語の記事はこれをマナーの問題として書きがちですが、実際にイタリア人が言っているのはそういうことではありません。牛乳は消化に悪い、と考えている人が多いのです。食事のあとに乳製品を入れると胃にもたれる、という感覚ですね。つまり作法ではなく、単に体の話をしているわけです。

だとすれば、結論も変わってきます。頼めないわけではまったくありません。 誰も怒りませんし、店員が眉をひそめるようなこともないです。とはいえ、食後にはエスプレッソのほうが普通ではあります。

甘いものは、店で食べなくてもいい

ドルチェも同じで、頼まなければいけないものではありません。勿論ティラミスやパンナコッタをはじめ、自家製スイーツが美味しいレストランもありますが、その場で特に気になるものがメニューになければ、店を出てジェラート屋に行くという選択肢があります。それもまたイタリアらしい過ごし方だと思いますし、食後の散歩とセットになるのでお腹にもいいですよね。

支払いについて

コペルトとは何か

伝票に Coperto という行があって、人数分だけ加算されていることがあります。

これは中世に由来するもので、もとは「屋根の下にいる権利、席、基本的な食器」に対する対価でした。今日では席料のような扱いで、相場は一人あたり1〜3ユーロ。高級店や観光地では5ユーロくらいまで上がります。

付け合わせのパンが出てくるかどうかとは、実は別の話です。

ローマではコペルトは違法、という話

これは豆知識として。

ラツィオ州法2006年第21号の第16条は、コペルトの請求を明示的に禁止しています。違反の罰則は同法第20条で2,500〜7,500ユーロ。つまりローマで coperto と書かれた伝票を出されたら、その請求自体が州法違反ということになります。

ただし同じ条文が servizio(サービス料)のほうは認めているので、店は名前を読み替えて請求している、というのが実情のようです。

正直に書きますと、私自身はローマで coperto と書かれた伝票を見たことがありません。そもそも観光客向けの店に行かないからだと思います。中には変な店もあるので気をつけるべきではありますが、この手の請求で揉めるような店を最初から選ばない、というのが一番効く対策ではあります。最も繰り返しになってしまうのですが。

チップは置かない

変な話、イタリアはアメリカではありません。チップは基本的に置かなくて大丈夫です。

サービス料が伝票に入っていることも多いですし、置かなかったからといって失礼にあたることもありません。

私も基本的には置きません。ただ、本当に素晴らしかったと思った店では置くこともあります。あくまで気持ちの問題で、義務ではないという位置づけですね。

レシートは取っておく

会計のあとに渡されるレシート(scontrino)は、取っておいたほうがいいです。

地元の常連には、そのままテーブルに置いて出ていく人もいます。実際それで何か起きるわけでもありません。ただ、金額に間違いがあったときに手元に何もないのは困りますし、旅行者なら記録としても残ります。ポケットに入れておくだけの話なので、やっておいて損はないでしょう。

まとめ

改めて並べると、こういうことになります。

  • 店選びで八割が決まる。 外に立って話しかけてくる店、英語ばかり聞こえる店、言語と品数が多すぎるメニューは避ける
  • アスタリスクは冷凍食材の表示。 打っている店が悪いのではなく、打たずに出す店が問題
  • 全部頼まなくていい。 お腹の具合で決めていいですし、聞けば融通が利く店も多いです
  • カプチーノはマナーではなく消化の話。 頼んでも問題ありません
  • 水は有料。チップは基本不要
  • 予約は基本いらない。 必要なのは超有名店くらい
  • レシートは取っておく

仕組みが分かってしまえば、あとは店の選び方だけの問題になります。そして店の選び方が分かれば、イタリアの外食はかなりの確率で当たります。他にもイタリア旅行で便利なTipがたくさんありますので、お読みいただけますと幸いです!

干梅太郎

干梅太郎

イタリア在住のピアニスト。クラシック音楽と、イタリアの古い服について書いています。
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