皆様こんにちは。突然ですが、タッセルローファーを代表する靴といえば何を思い浮かべますか?多くの方はCrockett & Jonesの“Cavendish”や、Aldenのタッセルモカシンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。英国靴らしい端正さを持つCavendishと、アメリカ靴らしい丸みを備えたAlden。方向性は少し違いますが、どちらもこの形を語る上で避けて通れない定番です。
ですが、今回紹介する一足は、そのどちらと比べてもさらに丸く、厚みがあり、どこか野暮ったい。英国靴らしい無骨さを、これでもかというくらい表現しているTricker’sのネイビースエードによるタッセルローファー“Chelsea”を紹介させていただきます。
Tricker’s Chelsea Tassel Loafers

Tricker’sは1829年、Joseph Trickerによってノーサンプトンで創業した英国の靴メーカーです。特にカントリーブーツやブローグシューズで知られ、英国靴の中でも堅牢さや実用性を強く感じさせるブランドの一つになります。
今回紹介する“Chelsea”は、ネイビーのスエードを用いたタッセルローファーです。フィッティングは5であり、これは一般的なブランドでいうEウィズと同義です。グッドイヤーウェルテッド製法にシングルレザーソールという、英国の靴ブランドらしいなかなか本格的な作りです。
現在Tricker’sが展開しているタッセルローファー“Elton”とよく似ていますが、この靴に書かれているモデル名は“Chelsea”。現在の公式ラインナップでは確認できないため、少なくとも現行の定番モデルではないようです。
丸く、野暮ったいタッセルローファー
この靴の面白さは、何よりその形にあります。タッセルローファーの代表格として思い浮かぶAldenのものと比べても、爪先はさらに丸く、全体にかなりボリュームがあります。どことなく“もちゃっ”とした、洗練とは少し違う方向の形です。もっとも、Aldenは試着したことしかないので、あくまで見た目とその時の感触を含めた比較になります。

しかし、この少し野暮ったい姿がTricker’sらしくもあります。カントリーシューズを基本とするブランドらしく、ローファーになっても華奢にはならない。ウェルトやソールにも存在感があり、いかにも丈夫そうな実用靴の顔をしています。
ネイビーのスエードという色も珍しいところです。黒ほど堅くならず、茶色ほど土臭くもならない。その曖昧な色合いと丸いフォルムが合わさることで、無骨でありながらどこか愛嬌のある靴になっています。
英国靴の中でも大きな踵
一方、実際に履いて最も気になったのは踵の大きさでした。
英国系の既製靴は踵に少し余裕を感じることがありますが、この靴はその中でもぶっちぎりと言っていいほど大きく感じます。これまでに僕が所有してきたCrockett & JonesやChurch’s、John Lobbと比べても、さらに踵が余る感覚があります。Edward Greenとは比較にすらならないほどの違いがあります。
紐で甲を固定できないローファーでは、踵の収まりが履き心地を大きく左右します。表記上のサイズやフィッティングだけでは分からない、実際に足を入れて初めて気づく部分です。
作りが良いことと、自分の足に合うことは、それぞれ別の話なのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。華奢でエレガントなタッセルローファーとは違う、丸く野暮ったいTricker’sの“Chelsea”。ローファーという形になっても、頑丈な実用靴であることをやめない一足です。
現在は公式ラインナップで確認できず、検索してもほとんど情報が残っていません。だからこそ、実際に履いて感じた形やサイズ感まで含めて記録しておく意味があるように思います。当ブログでは今後も、新旧を問わず個人的に面白いと感じた靴を紹介していきますので、お楽しみいただけますと幸いです。






