こんにちは。皆様は、サイズ表記のない服を、試着もせずにレジまで持っていったことはありますでしょうか。
僕はたまにやってしまうんですよね。そして今回もやりました。手に取って腰のあたりに当てて「これはいけるんちゃうか」と思ったのです。そして結論から言えばいけました。良い買い方ではないと自分でもわかっているのですが、値札には5ユーロの文字。この値段だとどうしても冒険したくなってしまいますよね。
以前第八回のラルフローレンのチノの回で、「トラウザーズを古着で見つけるのは結構難しい」というようなことを書きました。太すぎたり細すぎたり、ちょうどいい塩梅のものになかなか当たらない。今回もその難しさは変わらないのですが、たまたま賭けに勝った回、ということになります。今回ディグったのは、Rota Sportのチノトラウザーズです。
Rota Sport Chino Trousers

こちらが今回ディグった一本になります。Rotaは1962年、アンペリオ・ロータという人物が創業したトラウザーズ専業のメーカーです。1970年に息子のエミリオが加わり、1975年にはピッティ・ウオモにデビュー。1986年により大きな工場を構え、今もそこで縫い続けています。2010年からはアンドレアとミケーレという三代目が入り、現在は一族から九人が働いているそうです。
そして肝心の場所なのですが、これがフィデンツァです。パルマ県の、エミリア・ロマーニャ。つまり僕が住んでいるのと同じ州で、ボローニャからVia Emiliaを西に辿った先にある町です。
イタリアの古着屋でイタリアの服が出てくるのは当たり前のことなのですが、それが同じ州の、車で行ける距離の工場から来ていると分かると、やはり少し感慨が違います。
Rota Sportというライン
Rota Sportは、1990年に始まったラインです。同社にとって初の「製品染め・製品洗い」のコレクションで、仕立て屋の技術をよりカジュアルな方向に振り直したもの、という位置づけになっています。
製品染めとは、生地の段階ではなく、縫い上がった服を染めることです。この一本の柔らかさにも、そうした加工が関係しているのかもしれません。ただ、古着なので、これまで着られ、洗われてきた影響もあるはずです。履き心地の良さがどこから来ているのかは、正直なところ分かりません。
ファクトリーブランドとしての顔
Rotaが公式オンラインショップを通じて、客に直接商品を販売するようになったのは2019年のことです。公式の年表では、他社向けの製造を担ってきた背景にも触れながら、自分たちの物語と製品を直接届ける新しい章として紹介されています。それまでRota表記のトラウザーズはごく一部の名門セレクトショップでのみ取り扱われていたことを考えると、飛躍の一歩なのかもしれません。

このディグ日記、最近こういう会社にばかり当たっている気がします。第二十五回のEnrico Mandelliもそうでした。他社製品の生産を請け負いつつ、自分たちのブランドでは静かに丁寧な洋服作りを続ける。イタリアの服の世界ではよくあることですが、改めて感じさせられます。
肝心の履き心地ですが、これが、べらぼうに良いのです。手持ちのPTやINCOTEXと比べても、なんというか、包み込んでくる感じがある。ウエストが締め付けてくるのでもなく、かといって緩いのでもなく、とにかくバランスが良く綺麗に見えます。
正直、この感触の理由を僕は言葉で説明しきれていません。製品染めのせいなのか、股上の設計なのか、単に僕の体との相性なのか。いずれにせよ
購入時の価格は5€(当時のレートで約900円)でした。サイズ表記がないので、上に書いた実測が全てということになります。
いかがでしたでしょうか。少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。もしよければ前回の古着ディグ日記もぜひチェックしてみてください。






